〒192-0046 東京都八王子市明神町4―14―5
リーベンスハイム八王子2−203
合同・一般労働組合全国協議会 多摩連帯ユニオン気付
電話042(644)9914
e-mail: yusei.hiseiki.union@gmail.com
(ご注意: 上記 e-mail アドレスをご使用の場合、全角文字@を半角文字@に打ち直してご使用ください)

2020年5月12日火曜日

5.6団体交渉要求書

https://drive.google.com/file/d/1yOqo44EPwm6uyBcIil5J89hdvgWOgJs3/view?usp=sharing


日本郵便株式会社                      2020年5月8日
代表取締役社長                       郵政非正規ユニオン
衣川和秀殿                         執行委員長 齊藤 祐介


 団 体 交 渉 要 求 書

(1)日本郵便の不誠実団交を弾劾する

 郵政非正規ユニオンは郵政職場で働く6割の非正規職労働者そして4割の正規職労働者の生存と権利を守るために生まれ、闘ってきた労働組合である。郵政民営化以降、利潤追求を最優先とする日本郵便に対して、郵政非正規ユニオンこそが労働組合として原則的に対決し労働者の権利と利益を守り闘ってきたのである。
 東京多摩局における齋藤委員長を含む18名の雇止め解雇、晴海局における奥野明子組合員の労災療養中の雇止め解雇、目黒局の高安一郎組合員の雇止め解雇、八王子西局パワハラ解雇など、憲法28条や25条、労働基準法を無視した就業規則のみによる雇止め解雇攻撃と闘ってきた。東京各地区郵便局での不当なスキル評価やパワハラ攻撃を許さず、郵政職場で働くすべての労働者と組合員の権利と利益を守る先頭に立ってきたのである。
 1月28日の団体交渉における日本郵便の言動は、当労働組合としては、憲法と労働基準法、労働組合法に関わる重大な問題として看過することは出来ない。
 1月28日の7年ぶりの団体交渉で、日本郵便は団体交渉拒否の「不当労働行為が認められました」と郵政非正規ユニオンに対する不当労働行為を行ったことを認めた。しかし、不当労働行為を認めたのは中央労働委員会と東京高裁に対してであり、中央労働委員会への報告義務が生じているが、「郵政非正規ユニオンに対する報告義務はない」「会社方針で謝罪もしない」等の立場を最後まで維持した。これは不誠実団交そのものである。
 このようなありかたは、郵政非正規ユニオンを労働組合として認めず、対等の交渉相手として認めず、高裁判決が示した実質的な団体交渉を行う要請の拒絶である。
 日本郵便の団体交渉姿勢は、憲法28条に規定された労働三権、労働基準法や労働組合法の総則に規定された労働者の権利行使としての労使対等の原則の否定である。郵政非正規ユニオンは労働組合として、日本郵便を徹底弾劾し誠実対等な団体交渉を要求するものである。
 さらに、日本郵便は7年間にもわたって団体交渉を拒否しており、今回の団体交渉がどのような経緯の中で開催されたかについての自覚を決定的に欠いているのである。
 日本郵便と晴海郵便局が、2013年3月25日の第2回団体交渉をもって団交を意図的に打ち切ってから 7 年が経過している。当組合の10回に及ぶ団体交渉要求を拒否し無視しつづけた。奥野組合員へのパワーハラスメントに対する謝罪要求についての団体交渉を拒んだことは不当労働行為にあたることは、東京都労働委員会、中央労働委員会によって認められている。
 しかし日本郵便は、東京高裁判決によって団交が再開されるまでの 7 年という長い年月にわたって、不当労働行為を認めず、東京都労働委員会と中央労働委員会の命令を拒否し続けてきたのである。
 「解雇」された者にとっての7年は長いものであり、精神的苦痛を伴うものであった。
 高裁判決が出たから「形だけ団交に応じる」という態度を隠そうともしないのでは、団交は成り立たない。それは労使対等の原則を踏みにじり一方的な会社側の主張のみを繰り返す不誠実団交そのものである。
 日本郵便の現場が、約6割もの非正規職労働者によって支えられているのは事実である。そうした労働なくして、日本郵便の仕事は1日たりとも成り立たないのである。
 郵政非正規ユニオンと奥野組合員に対する日本郵便の不当極まる態度は、日本郵便を支える非正規職労働者全体に対する態度であるということを自覚すべきである。
 日本郵便は郵政非正規ユニオンに対して、真摯に団体交渉に応じ、謝罪すべきである。日本郵便の謝罪なくして正常な団体交渉にはならないのである。
 また、2012年8月23日の田中元副部長のパワハラ発言については、事実と証拠にもとづき、労使双方が団交の場で一つ一つ確認し共通認識にしていくような、団体交渉のありかたを労使双方が協力してつくりだしていくべきである。
 1月28日の団体交渉における田中元副部長発言は、東京高裁判決の指摘を無視した一方的な「パワハラはやっていない。契約上の話をしたに過ぎない」との主張に過ぎない。田中元副部長発言は高裁判決文を反省的に捉えかえした発言ではなかった。
 田中元副部長が自己の発言の主観的意図を説明しても、意味はないのである。田中元副部長発言は、あくまでも客観的な事実と証拠にもとづいてどのような内容であったか、どのような内容として確認せざるを得ないのか、労使双方ではっきりさせ確定させなければならない。
 田中元副部長のパワハラは8・23電話だけではない。
 2012年9月19日の田中元副部長による始末書強要と一方的シフト変更は、東京都労働委員会と中央労働委員会が日本郵便に非があったと認定している。
 東京都労働委員会は「会社は、18日の出勤は待つように指示しておきながら、18日当日になって出勤するよう指示したこと、上記経緯にもかかわらず、18日に出勤できなかった奥野に対し始末書を求めたこと、及び19日の奥野の業務量が通常より多く休憩時間が取れない状況であったこと等」、「奥野の職場復帰に至る経過及び職場復帰後の対応に配慮に欠ける点があったことは否定することができない」と認定している。
 中央労働委員会も、「奥野に対する指示内容は必ずしも明確なものであるとはいえず、このような会社の発言を受けて、奥野が、少なくとも同月18日の出勤は許可されないと解したことについては、奥野にのみ非があるとは言えない。そうすると、会社が奥野に対し、同日に出勤しなかったことについて正当な理由がないとして欠勤扱いとし、始末書の提出まで求めたことはやや配慮を欠く対応であったといわざるを得ない」と認定している。中央労働委員会は、一方的シフト変更について「会社においては、原則として勤務シフトの初日の 7 日前に勤務指定表を示すことからすれば」「奥野に対し、速やかに変更後のシフトを示すことが望ましかったといえる」「しかし、会社は、奥野に対し、これを職場復帰当日になって、シフトが変更されていることについて何ら説明することもなく、しかもその翌日から変更後のシフトで勤務することを既定のこととして提示した」「変更後のシフトを示すことができなかったなどの事情は認められないのであるから、職場復帰当日、上記のような会社の対応は、やや配慮を欠くものといわざるを得ない」と認定している。
 団体交渉で、田中元副部長は8月23日の奥野組合員への電話内容を説明するためにのみ団体交渉に出席していると発言したが、自分自身の過去のパワハラについてあまりに無自覚で反省を欠いていることは明らかである。奥野組合員への真摯な謝罪を要求するものである。

(2)郵政非正規ユニオンの団体交渉要求項目

 ①東京高裁の命令文にもあるとおり、お互いが合意にいたる歩み寄りが大事である。「会社方針」一辺倒で「謝罪の義務はない」というのでは、不当労働行為として指摘されている不誠実団交そのものである。歩み寄りの努力を日本郵便に求めるものである。
 ②東京都労働委員会命令と中央労働委員会命令は行政命令である。第一回団体交渉で行政命令である労働委員会命令を日本郵便が実施しなかった理由は説明されていない。なぜ労働委員会命令を実施しなかったのか、明確な説明と回答を要求する。
 ③労働基準法に謳われている労働者に等しく適用されるべき権利である解雇規制が非正規労働者には適用されないという認識を日本郵便は示した。第一回団体交渉でその根拠となる事例・判例の提示を日本郵便は約束した。事例・判例の資料の提示を求める。
 ④労災休業中の奥野組合員の雇止め解雇に対して、非正規であるから「解雇してもいい」という法的根拠の提示を求める。
 ⑤労災休業中の非正規労働者の雇止め事例の提示を求める
 ⑥日本郵便社長の出席を要求する。なぜなら解雇されたものを復職させる最終権限、また労働委員会命令を「実施する」あるいは「実施しない」最終権限を持つ者は、日本郵便代表取締役社長だからである。決定権を持つ責任者の出席を要求する。
 ⑦晴海郵便局相馬現局長の出席を求める。本来であれば、最終権限を持つ代表取締役社長の出席が望ましいが、復職についての裁量権を現晴海郵便局長が持つとされており、晴海郵便局の問題であることから、晴海郵便局長が出席することは当然であるからである。もし出席しないのなら、なぜ上記のような権限を有する日本郵便社長や晴海郵便局長が出席しないのか説明を求めるものである。
 ⑧当時の成田晴海郵便局局長と長田総務部長、北澤郵便部部長、田中郵便部副部長の出席を求める。奥野組合員の雇止め解雇を決定したのは、成田局長以下晴海郵便局幹部である。
 ⑨日本郵便は、1月28日の団体交渉において、郵政非正規ユニオン齊藤執行委員長に対して、横山邦夫社長名で、新聞紙2頁大(55センチ×80センチ)の白紙に謝罪文書を記載し、晴海郵便局の掲示板に中労委命令通り掲示したとし、なおそれを証明できる写真を添付し中央労働委員会に報告しているとした。その証言を証明する写真を郵政非正規ユニオンに対して示せ。中央労働委員会の命令通りの大きさであったことを示す、労働委員会に出した(晴海郵便局の掲示板に掲示した)謝罪文書を写した写真の提示し、掲示板と文書の大きさが比較検討可能な遠景写真または寸法入り写真の開示を求める。

 上記③~⑧は、日本郵便が1月28日団体交渉で郵政非正規ユニオンとの間で、検討することを確認した交渉事項である。
 上記要求項目についての回答は、次回団体交渉で必要であるがゆえに、文書回答を求めるものである。遅くとも、5月20日までに、組合側に文書で回答することを求める。

 次回第2回団体交渉の日時については、新型コロナ感染症対策の「緊急事態宣言」が5月31日まで延長されたため、文書回答後、6月初旬から6月中旬までの間の開催を検討されたい。

 以上

団体交渉要求書へのリンク